情熱の歌人・与謝野晶子の短歌にある明治時代らしからぬエロス

投稿日:2018年10月21日 更新日:




与謝野晶子の短歌が、まるで今のアダルトポルノのようだと、君は思ったことがあるだろう。

歌集みだれ髪にある「乳ぶさおさえ 神秘のとばり そとけりぬ ここなる花の 紅ぞ濃き」。

乳房を押さえながら、性愛というMysteryの扉をそっと開いた与謝野晶子は、
そこにある濃すぎる色に驚き、喜び、身体も心もその性愛に焦がれていく。

そんな場面が容易に想像できる与謝野晶子のこの短歌を読めば、君の気持ちも分かるよ。

情熱の歌人と呼ばれた与謝野晶子、そのまま晶子の短歌は愛情とエロスの塊だ。
強烈な個性を成しているのは愛情の深さ、表現の自由さ、執拗なまでの自信。

夫・与謝野鉄幹との恋事に生涯を捧げ、性愛がほとばしった結果である短歌で生計を立て、
12人もの子供を与謝野鉄幹との間に作り、生涯数えきれないぐらい、夫婦で各地を旅する。

与謝野晶子の生活のバランスはどうなっているのだ。
12人もの子供の母ともなれば、生活は子育てに明け暮れて当然なのに、
時代の奇才というべき短歌の極地までたどり着き、文壇での地位を築く。

鉄幹との洋航、止まらない子作り、源氏物語の現代語訳、関東大震災。
晶子ほど芸の道を突き進んだ人は珍しい。

くどいが、12人も子供がいる母として生きながら、
情熱の歌人としての与謝野晶子を忘れなかったことが、
晶子の歌人としてのこだわりと才能を差し示しているように思えて仕方がない。

根っからの芸術人、性愛の中で己の感情表現を突き詰めた人、
それが情熱の歌人・与謝野晶子だって、僕はこの感動を君に伝えたい。

明治の時代に「乳ぶさ」なんて言葉を

うら若い女性が短歌として世に出してしまう、

それって現代で言うフルヌードぐらい勇気のあることだって、

君が思っていることも最もだ。

だから情熱の歌人という代名詞がつくぐらい、

激しいエロスで短歌の境地を拓いたのが与謝野晶子だって。

 

与謝野晶子の短歌

 

与謝野晶子の短歌を読むべく、歌集「みだれ髪」を手に取ってみた。

「やは肌のあつき血汐にふれも見でさびしからずや道を説く君」

軽い現代語に訳してみればだよ、

「ねぇ、そこの真面目な坊や、どうして私の柔らかい肌を抱いてくれないの?
激しい恋を重ねなくちゃ、つまらないでしょ」

といった官能的・挑発的・エロスな恋の歌が「みだれ髪」にある。

これはオトナの女性が歌いあげた短歌なのだろう、と信じつつ調べてみると、
若干22歳、しかも明治時代の女性である与謝野晶子による歌と聞いて、
なんと言うか、短歌の内容と時代背景のギャップに驚いてしまった。

明治の女性像のイメージといえば、慎み深いことが美徳であり、
恋や性を表面に出すことなんて有り得ず、結婚は親の言いなり。

ましてや若干22歳の女性が、まさか上から目線で男性を挑発するなんて、
まるで想像できないこと、これは当時は事件になったはずですよ、奥さん!

そんな騒動の匂いを嗅ぎつけた私は、与謝野晶子の人生を調べてみた。
出てくる、出てくる、事件のカケラ。
いいや、「みだれ髪」の事件性以上に、 与謝野晶子の生き様こそが、最高の事件性を持っていた。


■妻子持ちだった与謝野鉄幹を、短歌のライバル・山川登美子と奪い合う
 ⇒略奪愛成功(でも数年後、鉄幹と登美子は不倫関係に)


■夫・与謝野鉄幹の短歌よりも、与謝野晶子の短歌が世間に評価される
 ⇒鉄幹のための短歌が、逆に最愛の夫から嫉妬される


■与謝野鉄幹との間に、12人の子を出産!


■倦怠期になったら夫を欧州へ留学させる
 (ついでに晶子も欧州旅行。当時では稀なこと)


斬新で、パワフルな生き方をした与謝野晶子に驚くばかり。
その上、情熱の歌人として、与謝野晶子は時代を切り開く短歌を残している。

地味だった明治の女性像に、美と恋の華やかさを。
刮目して読むべし、与謝野晶子の短歌の中のエロス。

 







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